「お前は、本当にわかってないな」
昔、ぼくはこの言葉が怖かった。
何がわかっていないのか。
どうすればよいのか。
それを聞くことすら許されないと感じる言葉だ。
ぼくは接客業で約20年間働いていた。
仕事はできないほうじゃない。
むしろ、要領もよかったと思う。
もちろん、自分が未熟だった部分もあるし、
失敗もした。
どうしたらいいかわからない自分が悪いって
申し訳ない気持ちで、眠れないこともあった。
でも、いま振り返ると、
ずっと苦しかった理由は別のところにあった。
それは、
「何がわかっていないのか」を、誰も教えてくれなかったことだ。
相手が怒っていることだけは
よくわかったけどね。
1.ぼくには「わかってないこと」がわからなかった
「お前は本当にわかってない」
この言葉を言われずに過ごす
新人や部下がいるだろうか。
ぼくはあるとき、頭の良いひとが上司になった。
可愛がってもらえていたが、
怒りだすと誰にも止められない。
「おまえ、何もわかってないだろ!!」
その言葉を聞くと、思考が停止した。
言い訳しない。
逆らわない。
うなだれ、傷つき、やり過ごす。
できるように頑張った。
けど失敗している。
わからなかったから失敗した。
だから、
何をどうすればよいのかを
教えてほしかった。

2.教えるとは「どうすればいいか」を渡すこと
それから何年か経ち、ぼくも上司になった。
「部下が思ったように行動してくれない」
あの時の上司の思いがわかってくる。
なるほど。
たしかにイライラする。
言ったはずのことが出来ていないし、
もっと早く簡単にできるだろう、と。
そして、こうも思う。
だったら、どうすればいいかを教えたらいい。
わかってないひとに、
「わかってない」というだけで
なにが解決するというのだろう。
そのとき、大切なことに気づいたよ。
教えるってことの意味を。
誰かになにかを教えるひとってさ、
「わかっていないこと」を指摘するだけでは
不十分だってこと。
問題をまちがえた子供に
先生が
「あなたはわからない子なんだね」と言うだけ?
ちがうよね。
きっと先生なら
まちがった子供には
「解き方」を教えるはず。
でも、大人になると
どうしてそれを、教えてくれるひとがいなくなるの?
数年働けば
部下ができる。
部下が出来たら、
リーダーシップや
コミュニケーションについて勉強した。
たくさん本を読んで、実践して、
失敗したこともあったけど、成功もあった。
だから、わかったことがある。
いま、
“わからない自分”に悩んでいるあなたに
伝えておきたいことがある。
部下っていうのはさ、
上司よりわかっていないから
部下なんだ。
「お前はわかってない」という言葉は、
当たり前なことを言われているだけだよってこと。
上司よりもわかっているって
勘違いしている新人には
わかっていないことに気づかせること。
自分は出来るって勘違いしたまま、
周りに迷惑をかけている部下には
それを気づかせないといけない。
でもほんとうに大事なのは
「どうしたらいいか」を教えること。
困っているときには手を差し出すこと。
それは「教えるひと」の責任だ。
それをどうか、あなたに気づいてもらいたいんだ。
3.どうすればいいかを伝えられない大人たち
コミュニケーションは“情報の伝達”だ。
伝えるべきことを適切に伝えること。
部下が
まちがった情報で動いているなら
ちゃんとうまくいくように、
手段や回数を重ねて伝えること。
「自分で考えて気づかせる」って
もしかしたら、
それは「伝える力」が足りなかっただけなのかもしれない。
相手が「わからないまま」なのは、
だれも幸せになってないよね。
4.「もっと早く教えてほしかった」が多すぎる世界
ぼくは知っている。
ぼくが大人だとおもっている人たちが、
わざと教えてくれなかったわけじゃない。
思いはある。
経験的にどうしたらいいかも知っている。
頭の中にはうかんだ言葉もある。
なのに、
それをうまく言語化することができない。
だって、その人たちも
自分たちが言葉にしてもらってなかったから。
思いを言葉にするとき、
言葉が足りることはないってこと
知っている大人って、少ないから。
だからぼくはいま、
あなたに向かって発信している。
早く知ったほうがうまくいくこと。
恋愛でも、仕事場でも
相手の気持ちになるなんて、ありえないこと。
生き方は、両手の指の数ほど
えらべるってこと。
幸せになるって、
思っているほど困難ではないってこと。
ぼくよりも早く、たくさん知ってほしい。
この「もっと早く教えてほしかった」が
多すぎる世界で。

5.“わかっていない”は可能性でしかない証拠
知らない土地にいくと
たくさんの“わかっていない”があふれている。
その土地の食べ物
実は行かないと
絶対に感動が伝わらない景色
街の匂いや、そこに住む人たちの息遣い。
“わかっていない”ということは
これからわかることが出来るってこと。
それはきっと、素敵なことのはず。
あなたが今、
「自分が悪かったわけじゃないのかもしれない」
と思えたのなら。
ぼくはあなたの世界を、
ほんの少し広げられたのかもしれない。
このブログはそのための場所だから。
それはたしかに「わからないこと」だけれど
ぼくはここで、足りない言葉でも
伝え続けているよ。

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